のれん会計に見るシナジー効果

卒論の参考文献を読み進めています。山内暁著『暖簾の会計』というハードカバーの本です。曲がりなりにも会計学専攻の大学生ということで、ぼちぼち卒論の構想を練り始めているというわけです。今日はそんな参考文献から、卒論とはあまり関係のなり切り口で記事を書いていきます。

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のれんとは何か

財務会計を簿記1級レベルまで学習したことがある人にとっては馴染みのあるワードですが、それ以外の人が「のれん」と聞いても、個人経営の飲み屋の入り口にかかっている”アレ”しか思い浮かばないでしょう。

会計学上で捉えられているのれんは飲み屋の入り口にかかっている”アレ”のように実態を有しているものではありません。なので、「のれん(概念)」という感じですね。

どういう時に用いられる概念なのかと言うと、現代ではもっぱら企業結合の際に認識されるものになります。実態はありませんが、企業結合の際に、仕訳上に数値として、「のれん」という勘定科目の衣装を着て現れます。

たったこれだけの説明では素人の人には何が何だかさっぱりですよね。企業結合というのは、よくニュースで聞く合併とか買収とかのことです。会社が会社をまるごと買ってしまうわけですね。

普段僕たちが買い物をするとき、たとえば120円の飲み物を買う時に200円を支払ったとすれば、80円がお釣りで返ってきます。ですが、企業結合においては、この80円のお釣りが返ってきません。この80円を「のれん」として、「その会社の価値を高く見積もって支払いを行うことによって生じた会社本来の金額との差額」と捉えます。

まあざっくりと説明するとこんな感じです。この考え方に至るまで、古典的な概念の変遷があるのですが、それは置いておきましょう。興味がある人は会計の勉強をしてください。

シナジー効果

それで、このお釣り部分の80円について、「シナジー効果」として捉える現代的な考え方があります。シナジーとは共同作用のこと。今日では経済用語としても馴染み深い単語になっています。

つまり、「現在120円の価値で運営している企業の中に80円の潜在的な価値を見積もって200円を支払った」というよりもむしろ、「買い手である企業と、買われる側の企業の2社がひとつの会社として新たに存在することによって、相乗効果が生まれ、80円分価値が高まった」と捉えるのです。

『暖簾の会計』の中で引用されていた過去の文献で示されていたわかりやすい例えとしては、車です。車のパーツはそれぞれ個別には、パーツとしての価値しか持ちませんが、車として完成した途端に、パーツそれぞれが有する価値以上の大きな価値が生み出されているわけです。これが企業レベルで起きることによって生み出されるのが「のれん」です。

シナジー効果を探す

シナジー効果としての「のれん」をわかりやすく説明するための例えとして「車のパーツと車」が用いられたわけですが、これは企業というとてつもなく大きい単位で起きているシナジー効果もあれば、現実的に僕たちの目の前で起きているシナジー効果もあるということが言えそうです。

自分たちの身の周りに、他にシナジー効果は存在していないのか?

自分たちの身近に潜むシナジー効果を見つけてみることは案外おもしろいかも知れません。建物の類は特におもしろいと思います。様々な要素が混ざり合って役目を果たしていますから、そこに潜むシナジー効果は、企業結合のシナジー効果よりも密度の濃いものということも考えられます。

雑誌はどうでしょうか?

雑誌にも色々な種類がありますが、多くの場合、様々な取材のもとに様々な特集が組まれます。それぞれ個別の記事だけでも十分に価値のあるものが、一冊の雑誌としてまとまった瞬間、その雑誌にしか有し得ない独特の価値が見出されます。これは紛れもなくシナジー効果と呼べるでしょう。

目次と著者陣のみからとてつもないシナジー効果をぶん投げてくる雑誌が刊行されました。大ボリュームにしてベースマガジンよりも安い。

雑誌のみでなく、文章にはシナジー効果があると思います。ブログもその良い例でしょう。

この世には枚挙にいとまがないほどシナジー効果が溢れています。そこに注目して事物を捉え始めた瞬間、この世には価値の集約の権化とも言えるものが溢れかえっていることに気がつくでしょう。僕もちょっと世界が明るく見えてきました。

参考文献に興味のある方も是非。のれんは奥が深くておもしろいです。

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