[書評]出口治明『人生を面白くする本物の教養』

ひさびさに書評記事を書きたいと思います。タイトルに惹かれて購入した1冊です。興味を持っている方の参考になればと思います。

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目次は以下の通り。


第1章 教養とは何か?
第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない
第3章 出口流・知的生産の方法
第4章 本を読む
第5章 人に会う
第6章 旅に出る
第7章 教養としての時事問題-国内編-
第8章 教養としての時事問題-世界のなかの日本編-
第9章 英語はあなたの人生を変える
第10章 自分の頭で考える生き方


この本を読めば今の日本人に必要な最低限の教養が身につくかと言うと、残念ながら本書はそういう本ではありません。本書は、もっと根本的で初歩的な、教養を身につけるための”考え方の本”です。言い換えると、7章、8章を除き、本書は全体を通して”ハウツー”を中心に書かれています。

ですから、必要最低限の教養としての”知識”を蓄えたいという方には、本書はあまり役に立たないかも知れません。それに対し、知識を取り入れ、それを自分の頭で考え、実生活の中に役立てていくための”知恵”を学びたいという方には、本書は思考の手引となり得るでしょう。

本書は”ハウツー”の部分が多く取り上げられているということもあり、自己啓発的な内容を多く含んでいるように感じ、その部分は少々くどいと感じました。特に無駄な時間を省くための考え方については、佐藤オオキ著『400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術』を思い出させる部分がありました。佐藤氏の著書をくどいと言っているわけではありませんが、この手の話は少々使い古されたネタ感があり、一度でも目にしたことがある人は退屈してしまうと思います。

また、前述の通り、本書は初歩的な側面があり、これまでほぼ全く知的生産や思索をしてこなかった人たちにとっては画期的に感じる内容であるかも知れませんが、ある程度普段から物事を考える人、知的生産を行う人々にとっては、それほど役に立つ本というわけではないように思います。

知的生産について学びたいのであれば、やはりまずは梅棹忠夫『知的生産の技術』を読むべきでしょう。それ以外にも外山滋比古『思考の整理学』や野口悠紀雄『超発想法』など・最低限のレベルでなく、確固とした思考力を身につけたい人にとっては、本書は物足りないと感じるはずです。

しかし、本書が面白くなかったのかと言えば、そんなことはありません。上記の知的生産関連の有名な本は、専ら個人が深い思考に赴く際に役立つもので、外部に対しては自らの知的生産が及ぶ範囲のみについて触れているという感があるのに対し、本書の視野はもっと広大で、そこが特徴と言えます。

すなわち、本書は「日本の将来を支える人材としての思考力」を身につけるための本と捉えると、上記の本との差別化となるでしょう。

ライフネット生命の経営者である著者は、これまでの人生の中で、海外で旅をし、様々な国籍の方と仕事をし、様々なことを学んできました。著者が人生を通して学んだ生きた”知恵”が、本書にはふんだんに織り込まれています。そのことは、「第6章 旅に出る」や「第8章 教養としての時事問題-世界のなかの日本編-」、そして「第9章 英語はあなたの人生を変える」を見れば、その題からだけでも何かを思い浮かべることができるのではないでしょうか。

本書から私たちが学ぶべきことは、本の読み方や知的生産の方法ではなく、むしろ世界との関わり方、世界と関わるための知識の取り入れ方、そして”考え方”です。

年齢を問わず、人生を面白くしたい、自分が見ている世界を広げたいと思っている人には是非読まれたい1冊です。

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