倉下忠憲『書評記事の書き方』――書評を書くということについて。

倉下忠憲先生の『書評記事の書き方』を読みました。自分の趣味の範疇で書評を書く機会を得たのとほぼ同じタイミングで、倉下先生の本が数冊Kindle Unlimitedの対象になりました。何かの縁だと思い、その対象本の1つである本書を読むことにしました。

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本書は倉下先生が配信しているメルマガ「Weekly R-style Magazine」、通称”WRM”の連載記事を再構成した内容です。

目次は以下の通り。

  • はじめに
  • Part1 書評記事の書き方
    • Lesson1 そもそも書評とは?
    • Lesson2 本の紹介における視点
    • Lesson3 価値としての批評
    • Lesson4 ネタバレ
    • Lesson4.5 引用の要件
    • Lesson5 書くことを引き出す7つの質問
    • Lesson6 タイトルの付け方
    • Extra Lesson
  • Part2 書評記事クロニクル
    • 注意書き
    • 情報整理におけるとても大切な一つの問い
    • 書評「仕事をためこまない人になる5つの習慣」(佐々木正悟)
    • 書評「ストレスフリーの整理術 実践編」(デビット・アレン)
    • 書評「キュレーションの時代」(佐々木正悟)
    • 【書評】『トライブ 新しい”組織”の未来形』(セス・ゴーディン)
    • 【書評】ビッグデータの正体(ビクター・マイヤー=ショーンベルガー ケネス・クキエ)
    • プログラミングは教養なのだろうか
    • 【書評】なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?(佐々木正悟)
    • 【書評】知的生産の技術とセンス(堀 正岳 まつもと あつし)
    • 【書評】数学文章作法 推敲編(結城浩)
  • 巻末
    • おわりに
    • 著者プロフィール
    • 奥付
    • 倉下忠憲の電子書籍

前半のPart1では、「書評」とは何であるのか、「書評」が持つ意味とは何なのかということについて書かれています。そして、書評の役割がわかったところで、どのようにして書評を書き進めて行けばよいのかということについて触れられています。

Part1から肝に銘じておきたいことは、「書評は、それ自身が独立して鑑賞するに足る作品であることが多い」ということです。豊かな本を紹介するにあたり、その書評が単独で豊かな作品として仕上がりうるということは、書評を書く人にとっての一つの指針となるはずです。

それでは、Part1を読み終えたあなたがすぐに素晴らしい書評記事が書けるかといえば、決してそうではないでしょう。それは、これから(もっぱらブログ記事としての)書評を書こうとしている読者へ向けて本書を書いた倉下先生でさえも同じであったはずです。

Part2では、倉下先生が実際にご自身のブログにて書かれた書評記事がまとまっています。書評を書き慣れていない僕からすれば、Part2に掲載された数々の書評は、全て素晴らしく見えてしまいます。ですが、日常的に文章を書く習慣がある人なら想像に難くないと思いますが、自分の書いた文章というのは、見返す度に「拙いなぁ」と思ってしまうものです。プロの文章家が見たらなおさらのことでしょう。

そんな風に自分が見返すだけでも拙いと思ってしまう文章を他人の目に晒すというのは、いささか決まりが悪いことです。では、自分を納得させ、読者を自らが紹介した書籍へと誘い込むことが出来るような書評が書けるようになるには、どうすればよいでしょうか。

本を読むこと

まずはたくさん本を読むことです。本書にて、「書評を書く人は、今まで自分が接してきた情報の世界の中でしか書評を書くことが出来ない」という旨の記述があります。人にはそれぞれ限界があるということです。

その限界を広げるために、豊かな作品としての書評を書くためには、やはり読書をすることは必要です。

書評を読むこと

僕が本書を読んでいて気がついたのは、書評を読むこともまた、書評を書くために大切なことであるということです。その人が書評を通じて、その本をどのように紹介したかったのか、どんな人に読んでほしいと思って書いたのか。そういうことを考えながら読む書評には、単なる「書籍の紹介+論評」として読む書評とは異なった価値があると考えます。

そもそも、書評がそれ自体で独立して作品として楽しむことの出来るものなどだとすれば、読書と同じように、いろいろな作品の書評を楽しむことが重要でないはずがありません。

書評を書くこと

本を読むこと、書評を読むことも大切ですが、やはりそれだけでは書評を書けるようにはなりません。野球のルールだけを学んで、野球が上手くなると思っているというのと似ています。

どんなに拙い文章だとしても、自分の手で実際に書評を書いてみることが、恐らく一番良い練習になるでしょう。言わば素振りです。バットや竹刀の素振りと同じように、何度も何度も書評を書いてみるのです。

結局、自分の手で書いて試してみないことには、「こういう書き方はやりにくい」だとか、「こういう書き出しで始めると、その後が続けやすい」などということがわかりません。書くということは頭の中を整理するのにも役立ちますから、書いているうちに自分の考えがまとまり、整合性のある文章が完成するということも少なくありません。

おわりに

「具体的にどういった書き出しがあるのか」、「どこまでのネタバレはOKなの?」、「ターゲットは誰?」など、軽視されがちではあるけれどもとっても重要といったトピックはあえて触れませんでした。そういった内容は本書の中身に委ねたいと思います。

なんだかんだと言ってきましたが、本書はもっぱらブログ記事としての書評について言及しています。突き詰めれば、”ブログは個人のメディアであって、好きなことが好きなように書ける場なんだから、自分の思うように本を紹介しようよ”ということになると思います。

ただ、あまりにも自由奔放に書きすぎると、読者に正しく伝わらない可能性が出てきます。そういった部分を是正して、好きなように書き、かつ筆者の思いが読者に伝わるように記事を組み立てていくための指針として、本書は役に立つはずです。

せっかくなので書評記事っぽく書かせていただきました。憧れの倉下先生の著書を書評記事紛いに紹介することができて、僕は大変満足です。ありがとうございました。

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