読書週間らしいですね。みなさん書評記事や感想記事など色々と記事を書かれていたり、本を紹介する記事を紹介するという面白い企画をされている方もたくさんいらっしゃいますので、便乗して僕も本を紹介したいと思います。
本書は、知的生産を日々行っていく上で生活習慣がどのように影響してくるのかということを考え、知的生産に良い影響を与える生活を送っていくための一冊です。言わば、同著『思考の整理学』の実践編です。
目次は以下の通り。
- まえがき
- I 頭に刺激
- 日記をつける
計画を立てる
忘れて頭を整理する
図書館の利用
辞書を読む
メモをつける
生活の編集
「なぜ」「どうして」
仲間をつくる
- 日記をつける
- II 体にいたわり
- 横になる
脚力をつける
声を出す
人の言うことを聴く
朝、体を動かす
仕事は食前
風邪は万病のもと
- 横になる
- III 心を豊かに
- 生活を大事にする
俳句・川柳――頭の体操
散文を書く
手紙を書く
万年筆にこだわる
- 生活を大事にする
- みずからを知る――あとがきにかえて
『思考の整理学』の実践編とも言えるだけあって、内容は同著と繋がっている部分が多いです。『思考の整理学』を読み終えてから読むと、理解と馴染みやすさが増すことでしょう。
これだけ豊富な章立てから構成されていると、全ての部分を自分に適用するというのは、恐らく難しいはずです。約200ページの中にふんだんに盛り込まれた知的生活のための学びは、たった1度の読書では吸収しきれないほど、そのどれもが刺激と好奇心で溢れています。しかも本書は、この章立ての中に更に細かい見出しが付けられています。流石にそこまで記すと時間がかかりますし、本書を手に取る楽しみが半減してしまう恐れもあるので致しません。
『知的生活習慣』は、単にそれぞれの章から別々の教えを学び、その中から今の自分に出来そうなことを始めて、それを習慣にしていくだけでも大きな意味があります。現に僕は、本書からの教えによって、日記を書くようになり、計画を立てるようになり、ランニングをするようになり、睡眠時間を増やすようになり、遠方に住んでいる女性と文通をするようになり、こうしてブログを書いています。間違いなく「習慣」として僕の生活に影響を与えています。しかし、それだけではせっかくの良本を手にしたのに、少々物足りないのではないかと思います。
本書で注目したいのは、大きな章立ての3つがそれぞれ「頭」、「体」、「心」という、人が生活する上で重要な働きをしている3つの要素に焦点をあてているというところです。もっぱら、日々の生活の中で絶えず知的生産を行っていかなければならない現代の私たちにとって、この点はよく意識しておかなければならない部分です。
大切なことは、どの3つのパーツにおいても「働く」と「休む」のバランスを崩さないことです。活動のためには、それに見合う休息を欠かすことは出来ません。そして、それぞれのパーツの「働く」、「休む」のバランスを取りつつ、3つのパーツ全体としてのバランスを取ることです。頭と体の調子が良くても、心が沈んでいる時は、生産に意欲が向かないことがあるでしょう。体の調子が悪いときには、心は意欲的であったとしても、頭が体の影響で働いてくれないこともありますよね。
ですので、単にそれぞれの章から教えを受けるだけではなく、各章で述べられているポイントを結び合わせ、自分にとって知的生産に最も良い影響を与えうる生活バランスを意識することが大切でしょう。自分に最適な生活バランスを考え、そのために必要な習慣を本書から吸収することが出来れば、日々の知的生産が良い影響を受け始めるはずです。たとえ生活のバランスにまで意識を向けなかったとしても、本書が知的生産のための手助けをしてくれることは間違いありません。何度も読み返したい一冊です。
おわりに
心の師である倉下先生が本紹介の企画をされています。今回書評記事を書いたきっかけはまさしくこれです。せっかくR-styleで記事を紹介していただけるのであれば、やはり知的生産に関わる本が良いかなと思い、今回の本を選びました。
あまり言い過ぎると媚を売っているように思われてしまう恐れがあるのでほどほどにしたいところですが、倉下先生からの影響と恩恵はとても大きいので、感謝の意を込めつつ企画に参加させていただきました。
今回紹介した『知的生活習慣』は、同著『思考の整理学』と合わせて大変読み応えがあり、素晴らしい本ですので、是非読んでいただきたいです。
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